クラニアルテクニック  

クラニアルテクニックは、当院では主に頭痛、自律神経の調整などに用いられる施術法です。

クラニアルとは、形容詞で「頭蓋骨の…、頭蓋骨では…」という意味で、簡単に言えば頭のバランスを整えるテクニックのことです。

頭というと少し前後に長い球体に近い形を想像すると思います。また、頭の形は変わらないと思われると思いますが、施術者の実感から言わせていただくと頭の形は変化します。

実際に、みなさまの頭に触れさせていただいると身体に不調をお持ちの方の頭はねじれた楕円形のようになっていたり、左右で頭の大きさが違っていたり、すごく重くなっていたりというバランスの悪さが出た状態になっています。

このようなことをお伝えするとびっくりされるのですが、そのバランスを整えていくと「スッキリした」「目がぱっちり開くようになった」「呼吸がしやすくなった」などの変化が見られます。

なぜこのようなことが起こるのか?というと、実は頭蓋骨というのはひとかたまりのものではなく、23~24個の骨が組み合わさることで構成されており、その骨と骨の繋ぎ目(=縫合部)の部分には一次呼吸というわずかな動き*があるからです。

*現代医学の世界では頭蓋骨の縫合部は不動であるという立場を取るのが主流ですが、徒手療法の世界では頭蓋骨の縫合部には可動性があり歪みが起こるという考えが存在します。

そして不調というのは頭のバランスが悪くなったり、骨の繋ぎ目が固まったりした結果、一次呼吸という頭の動きが制限されることで頭蓋骨の中を満たしている脳脊髄液の循環が悪くなることで起こることがあります。

そのため、骨の繋ぎ目で固まっている部分を整えることで一次呼吸を促し、脳脊髄液の産生や循環をしやすくすることで全身の神経や細胞に脳脊髄液をいきわたらせ、自己治癒力が働きやすい状態にするためのテクニックです。

一次呼吸とは?

私たち人間の頭蓋骨は、1分間に6〜12回前後のリズムでじんわりと膨らんだり(屈曲)としぼんだり(伸展)という動きを繰り返しています。

なぜこんなことが起こるのか?というと、妊娠初期、心臓ができる前の胎児時代にまで遡る必要があります。

お母さんのお腹で着床、発生後の胎児というのは頭部が大きく、胴体や手足がまだ小さく勾玉のような形態をしていることはよく知られていると思いますが、この時期に母体から届けられた栄養を全身くまなく運ぶために一定のリズムで頭部の膨張と収縮を繰り返しています。

それを一次呼吸といいます。そして一次呼吸は、誕生後も体に刻まれ、*脳脊髄液を循環させるリズムとして大切な役割を担っています。(一般的な肺呼吸は二次呼吸といいます)

*脳を包む硬膜と脳の間にある液体。硬膜の中で脳や脊髄の組織を浸し中枢神経系の保護や機能の維持、栄養物質の輸送、老廃物の排泄などを行う。

脳室内の脈絡叢で産生される脳脊髄液は、上記の一次呼吸のリズムにあわせ脊髄を介して骨盤部の仙骨や全身の神経組織に送り込まれ、栄養を届けたり、また排出された老廃物を流しながら神経系の健康を維持するのですが、

ストレスや過労などでお体の不調がある方や、長期の体調不良や痛みでお悩みの方は、一次呼吸が乱れ脳脊髄液の循環が悪くなっています。

つまり、各神経に栄養が充分行きわたらず、頭部に脳脊髄液が貯留し頭部がいくぶんか重くなっています。こんなときにクラニアル整体を受けてもらうと、脳脊髄液の循環を促進され、本来の健康を戻してゆく、そんな整体テクニックです。

内臓調整とあわせて受けてもらうことで脳脊髄液の循環、吸収が効率的になります。刺激はとてもソフトで強く押したり揉んだりすることなく、非常に心地よい施術です。

当院の内臓調整テクニックとクラニアルテクニックの考え方

当院で行う内臓調整とクラニアル調整の考え方当院の考え方として、内臓調整を行うときは特定の症状を治そうとしているわけではありません。

内臓の症状のパターンとしては慢性のものと急性のものの二種類がありますが、まず最初に出てくる症状はほとんど急性のものです。

季節の変わり目や気温、気圧などの影響を受けたものがまず最初の症状として出てきます。

そして施術を継続した上で、急性の症状が改善された段階で明らかになるのが本来ご自分が今まで持っていた慢性の症状です。

人間にはその人の生まれ持った体質によってそれぞれ強い臓器と弱い臓器があります。

例えば、心臓や肝臓、その他の臓器が、持っている能力の80~90%が発揮できているのに対し、肺は40%しか能力を発揮出来ていないとします。

その場合内臓調整で目指すのはすべてを100%にするのではなくて、弱い臓器である肺の能力を40%から50~60%へと少しだけ引き上げてあげるというものです。

最終的には高いレベルで内臓の能力のバランスがとれるようにします。

そうして身体全体を正常な状態に近づけていくことで、自然とそれぞれの部位も健康に近づいていき、同時に症状も軽減していきます。

ですから症状の出ている部位に直接アプローチする場合もあれば、全く別の部位から間接的にアプローチすることもあります。

また治療の方法もその時々の身体の状態、季節などさまざまな状況に応じて変化します。

当院ではクラニアル調整で脳脊髄液の産生を促し骨盤まで降下させて臓器に繋がる神経細胞に栄養を送り込む、そして内臓調整で各臓器が本来持っている正常な機能を取り戻し、脳脊髄液の吸収力を高めることで自己治癒力が働きやすい環境をつくることをイメージして施術を行っています。